賃貸アパート名義変更の手順と費用のポイント
賃貸アパートの名義変更とは?
賃貸アパートの名義変更は、契約者の名前を変更する手続きのことです。
名義変更が必要になるのは、次のようなケースが多くあります。
- 結婚・離婚による苗字変更:婚姻や離婚などで苗字が変わったとき。
- 家族構成の変化:親名義から子ども名義に変更したい場合や、夫名義から妻名義へ変えたいとき。
- 法人契約から個人契約へ変更:転職などで法人契約から個人契約へ切り替える際。
- 名義人が退去した場合:ルームシェアなどで、名義人が退去し他の同居者が住み続けたいとき。
名義変更を行わないで契約者と住人が異なる状態が続くと、トラブルの原因になることがあります。
賃貸契約では、名義人と入居者が一致していることが一般的なルールです。
このルールが守られていないと、「無断転貸」と判断され、契約違反として強制退去を求められる可能性もあるため、名義変更が必要な場合は早めに対応することが重要です。
名義変更と新規契約の比較表
項目 | 名義変更 | 新規契約 |
---|---|---|
契約者の変更 | 名前・名義の変更のみ | 契約者自体が変更 |
必要な費用 | 名義変更手数料 | 敷金・礼金・契約手数料 |
審査 | 簡易審査の場合あり | 新規契約審査あり |
保険の名義変更 | あり | 再契約(火災保険) |
必要な書類 | 身分証、住民票など | 身分証、住民票、収入証明書等 |
手続き期間 | 1週間~1カ月程度 | 1~2カ月程度 |
賃貸アパートの名義変更の具体例
ケース1:結婚に伴う苗字の変更
たとえば、契約者である女性が結婚し、苗字が変わった場合です。
この場合、賃貸契約自体の条件に大きな変化がないため、契約者の苗字の変更に伴う名義変更手続きだけで済むことが一般的です。
しかし、管理会社や大家さんへの確認と書類提出は必須です。
- 手続き内容:管理会社への名義変更届と、身分証(運転免許証や住民票など)を提出
- 費用:1万円前後が一般的
- ポイント:新規契約ではないので敷金礼金の支払いは不要。ただし、火災保険の名義も変更が必要です。
ケース2:法人契約から個人契約への名義変更
転職や異動で、法人契約を個人契約に切り替える場合です。
この場合、契約名義の変更だけでなく、法人契約の解除と新しい個人契約を結ぶ必要が生じるため、新規契約扱いとなることが一般的です。
- 手続き内容:法人契約を解約し、個人名義で新規契約手続き
- 費用:新規契約費用(敷金1カ月分、火災保険料、契約手数料など)
- ポイント:新規審査が必要で、連帯保証人の同意も再度取得する必要があります。
賃貸アパートの名義変更の手順
- 不動産管理会社への相談
まず、契約を管理している不動産管理会社または大家さんに名義変更を希望する旨を連絡します。 - 必要書類の準備
名義変更に必要な書類を用意します。一般的には次のものが求められます。- 新名義人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 収入証明書(源泉徴収票、給与明細など)
- 住民票
- 印鑑と印鑑証明書
- 名義変更の手続きと費用支払い
名義変更には手数料がかかることが多く、一般的には数万円程度です。
また、名義変更が認められず、新規契約となる場合は敷金や礼金、契約手数料などが再度発生する可能性もあります。 - 審査の実施
名義変更でも審査が行われる場合があります。
特に、契約者の収入や信用状況が変わる場合、審査を通過できるかが確認されます。
名義変更プロセスの詳細と必要書類
名義変更のプロセスと必要な書類について、詳細な手順を解説します。
ステップ1:管理会社に相談
最初に、現在の契約を管理している不動産管理会社や大家さんに名義変更が可能かどうかを確認します。
ケースによっては、新規契約扱いとなる場合もあります。
ステップ2:必要書類の準備
名義変更や新規契約に必要な書類は、一般的に以下の通りです。
- 新契約者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
- 収入証明書(源泉徴収票、給与明細、確定申告書など)
- 住民票(最新のもの)
- 印鑑証明書(場合によっては認印でも可能)
- 火災保険証書(名義変更の際に確認されることがあります)
ステップ3:名義変更手数料とその他費用の支払い
名義変更の場合、手数料がかかります。
名義変更手数料は管理会社に支払うことが一般的ですが、現金払いが必要な場合もあるため、事前に支払方法を確認しておくとスムーズです。
ステップ4:火災保険の名義変更
賃貸契約時に加入した火災保険も、名義を変更する必要があります。
保険会社に連絡し、契約者名を変更する手続きを行います。
契約内容に変更がない場合、追加の保険料がかからないことが多いですが、まれに変更手数料が発生する場合もあります。
賃貸アパートの名義変更にかかる費用
名義変更の費用は、契約状況や管理会社のルールによって異なりますが、一般的な目安を以下に示します。
- 名義変更手数料:1万~3万円程度が目安。
- 新規契約手数料:名義変更が認められず新規契約となる場合は、敷金、礼金、火災保険料、保証料などが再度かかることが多く、家賃1~2カ月分の費用が必要です。
費用が高額になる可能性もあるため、名義変更か新規契約かを事前に確認しておくことが大切です。
賃貸アパートの名義変更にかかる費用の内訳
名義変更にかかる費用はケースにより異なります。以下は、一般的な費用の内訳とそれぞれの相場です。
- 名義変更手数料
名義変更に必要な事務手数料です。通常、管理会社や大家さんに支払います。相場は1万円前後です。 - 火災保険の名義変更手数料
火災保険契約も新しい契約者名で管理するため、火災保険料が発生することがあります。
保険の内容によっては追加費用が発生するケースがあるため、あらかじめ確認が必要です。 - 新規契約費用
名義変更ではなく新規契約が求められる場合は、敷金や礼金、契約手数料、火災保険料などが再度必要になります。
これらの費用は家賃の1~2カ月分が相場です。
賃貸アパートの名義変更に関する具体例と費用シミュレーション
ケーススタディ1:親から子への名義変更
背景
Aさんは大学進学のため、親が契約したアパートに一人暮らしを始めました。
卒業後、就職が決まり、収入も安定したため、親からAさん自身に名義を変更したいと考えています。
手続き内容
この場合、管理会社に名義変更を相談し、Aさん本人で審査を通過する必要があります。
また、収入が基準を満たしていない場合、保証人の収入も併せて審査対象となることが一般的です。
費用シミュレーション
- 名義変更手数料:2万円
- 火災保険の名義変更手数料:0円(保険内容の変更なし)
- 保証人費用:必要なし
合計費用
約2万円
ケーススタディ2:法人から個人への名義変更と新規契約
背景
Bさんは転職で異なる会社に移るため、これまで会社名義で借りていたアパートを個人名義に変更したいと考えています。
このケースでは、新規契約が必要になるため、初期費用がかかります。
手続き内容
法人契約を一旦解約し、Bさん個人名義で新規契約手続きを進めます。
連帯保証人が必要な場合もあります。
また、新たな契約者審査も実施され、契約条件も再設定されるため、契約内容に変化があることを確認しておくことが大切です。
費用シミュレーション
- 名義変更手数料:0円(新規契約のため不要)
- 敷金:家賃1カ月分(7万円)
- 礼金:家賃1カ月分(7万円)
- 契約手数料:家賃の0.5カ月分(3.5万円)
- 火災保険料:1万円
合計費用
約18.5万円
賃貸アパートの名義変更時の注意点
名義変更にはいくつかの注意点があります。
以下に、その詳細とともに具体的なアドバイスをまとめました。
1. 名義変更が新規契約に該当するかを確認
名義変更が認められず、新規契約として扱われる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
特に法人から個人、親から子など、住人が変更されるケースでは新規契約になることが多いです。
新規契約の場合、改めて契約書を作成し、審査を受ける必要があります。
2. 名義変更の際の審査基準
名義変更でも、変更後の契約者の収入や信用状況が確認されることが多いです。
収入が契約基準を満たしていない場合や、過去に家賃の遅延歴がある場合などは、審査で通過できないことも考えられます。
その際は連帯保証人の収入を審査対象とすることも可能です。
3. 名義変更ができない場合の選択肢
もし名義変更が認められず、新規契約を進めたものの審査に通過できない場合は、次の方法を検討します。
- 連帯保証人の収入を考慮する:保証人に安定収入があれば、契約者と保証人の合算収入で審査を再チャレンジすることも可能です。
- 別の物件への引越しを検討する:家賃が高すぎる場合、支出に合った物件を探すのも選択肢です。
4. 連帯保証人の再確認
名義変更が伴う場合、連帯保証人の再設定が必要になることが多いため、連帯保証人の同意が得られているかも確認します。
特に、新規契約になる場合、連帯保証人の収入証明も求められることが多く、対応が遅れると手続きが長引く可能性があります。
5. 火災保険の補償内容を再確認
火災保険の名義変更を行う際に、補償内容も合わせて確認することをおすすめします。
補償内容が不十分であれば、オプションを追加することで保障範囲を広げることができます。
たとえば、家財の補償額が10万円と設定されている場合、自分の家財価値に見合うか確認してみましょう。
6. 退去時に備えた敷金・礼金の確認
新規契約が発生する場合、敷金や礼金の扱いが変更されることがあります。
旧契約での敷金が返還され、新たな契約で再度敷金を支払う形になるため、事前に確認しておくと安心です。
火災保険の名義変更
名義変更に伴い、火災保険も契約者の名義を変更する必要があります。
火災保険の契約が古い名義のままでは保険請求ができないことがあるため、忘れずに対応しましょう。
- 火災保険の名義変更手続き:保険会社に連絡し、契約者名義の変更を依頼します。
- 変更費用:保険内容の変更がない場合は無料の場合が多いですが、特定のプランによっては変更手数料が発生することもあります。
火災保険の名義変更は、基本的に電話やオンラインでの手続きが可能ですが、場合によっては本人確認書類や契約書のコピーが必要となります。
名義変更でよくあるトラブル例と回避策
トラブル例1:名義変更手続きが遅れて無断転貸と判断されたケース
名義変更が必要にもかかわらず手続きを行わなかったことで、無断転貸と判断されてしまうケースです。家族内での変更だとしても、名義変更の手続きは重要です。
- 回避策:必要だとわかった時点ですぐに管理会社へ相談し、手続きを行いましょう。対応が早ければ、スムーズに進められるケースがほとんどです。
トラブル例2:名義変更後に火災保険の請求ができなかったケース
火災保険の名義変更を忘れていたため、事故が起きた際に保険の請求ができなかったケースです。
- 回避策:名義変更を行う際に、火災保険の契約者名も同時に変更するようにします。名義変更が完了したら、火災保険の変更も速やかに行いましょう。
トラブル例3:保証人の同意が得られずに名義変更ができなかったケース
名義変更の際に、保証人の同意が必要であることを知らず、手続きが中断してしまうケースです。
- 回避策:事前に保証人と連絡を取り、同意を得るようにしておきましょう。事前確認により、手続きがスムーズに進みます。
賃貸アパートの名義変更に関するよくある質問(Q&A)
Q1: 賃貸アパートの名義変更は誰でもできるの?
A1: 原則として、賃貸契約は契約者と入居者の一致が必要です。
したがって、名義変更を行う場合は、管理会社または大家さんの許可が必要です。
Q2: 名義変更にかかる費用は敷金から引かれる?
A2: 名義変更手数料は敷金から差し引かれることは少なく、現金での支払いが一般的です。
ただし、新規契約となった場合には敷金が再度発生するため、現契約の敷金が返還され、あらためて支払うケースもあります。
Q3: 名義変更の手続きをしないとどうなる?
A3: 名義変更が必要にもかかわらず行わない場合、「無断転貸」として契約違反となり、退去を求められることがあります。
会社の家賃補助などの特典も利用できなくなる可能性がありますので、早めに手続きすることが重要です。
Q4: 火災保険の名義変更も必要?
A4: はい、必要です。名義変更に伴い、火災保険の契約者名も変更する必要があります。
保険会社または管理会社に相談して、スムーズに手続きしましょう。
Q5: どのような書類が必要ですか?
A5: 一般的に、本人確認書類(運転免許証など)、住民票、収入証明書(源泉徴収票など)、印鑑証明書が必要です。
場合によっては連帯保証人の書類も必要ですので、事前に確認してください。
Q6: 名義変更手続きにどれくらいの期間がかかりますか?
A6: 必要書類が揃っている場合、名義変更の手続き自体は1週間~1カ月程度です。
新規契約の場合は、1~2カ月程度の余裕を持つことが望ましいです。
Q7: 賃貸アパート名義変更の費用を減らす方法はありますか?
A7: 名義変更のみで済む場合、費用は抑えられます。
事前に管理会社に確認して、変更が名義変更で済むか新規契約になるかをはっきりさせましょう。
また、敷金が返還される場合、その金額を新規契約の敷金に充当できるケースもあります。
Q8: 名義変更時に契約内容も変更されますか?
A8: 名義変更だけでは家賃や契約条件に変更はありません。
ただし、新規契約が必要な場合は、改めて家賃交渉や契約条件の確認が必要です。
Q9: 名義変更せずに家族が住み続けることは可能ですか?
A9: 名義変更が必要なケースで手続きを行わないと、無断転貸と見なされるリスクがあります。
必ず名義変更の手続きを行いましょう。
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