空き家の維持費が高すぎる!売れない家の固定資産税と特措法での対策を解説
はじめに
空き家を所有していると、毎年の固定資産税や維持費の負担が大きくのしかかってきます。
特に、売れない空き家の場合、そのコストが家計を圧迫し、頭を悩ませる原因になります。
空き家の維持費が高いと、放置するのも、手放すのも容易ではなくなります。
本記事では、空き家の固定資産税の負担を減らす方法や、特措法(空き家等対策の推進に関する特別措置法)を活用した対策について詳しく紹介します。
少しでも空き家の維持費を抑え、上手に管理するためのポイントを押さえていきましょう。
1. 空き家にかかる固定資産税とは?
空き家を所有していると、毎年固定資産税がかかります。
固定資産税は、土地と建物に対して課される税金で、空き家であっても支払う義務があります。
特に、住宅用地に適用される特例措置が外れる場合、税額が大幅に増加する可能性があり、空き家の維持費を大きく押し上げる要因となります。
1.1 固定資産税の基本
固定資産税は、土地と建物の評価額に基づいて算出されます。
通常、住宅用地には「住宅用地特例」が適用され、税額が軽減されますが、空き家が管理不全状態に陥ると、この特例が適用されなくなる場合があります。
- 課税標準の特例: 住宅用地に対しては、土地の固定資産税評価額が6分の1に軽減される特例があります。
しかし、特措法により「特定空き家」に指定されると、この軽減措置が適用されなくなり、税額が一気に増加します。
通常、住宅用地として利用されている土地は、固定資産税の課税評価額が軽減されることで、税負担が抑えられます。
しかし、空き家を長期間放置すると、税法上「住宅用地」として認められなくなり、その結果、軽減措置が適用されないままの評価額で課税されることになります。
例えば、住宅が建っている土地の評価額が3,000万円である場合、住宅用地として認められている間は評価額の6分の1、つまり500万円に対して課税されます。
しかし、特定空き家に指定されると、3,000万円全額に対して課税されることになり、固定資産税額が6倍になる可能性があるのです。
1.2 特定空き家とは?
「特定空き家」とは、放置されていることで周囲に危険や迷惑を及ぼす空き家のことです。
具体的には、老朽化が進み倒壊の恐れがある、衛生上の問題がある、景観を著しく損なうなどの状態が該当します。
特定空き家に指定されると、固定資産税の優遇措置が外され、通常の課税が行われるため、税額が数倍になるリスクがあります。
特定空き家に指定されると、行政からの指導や改善命令が下されることがあります。
これに従わない場合、行政が強制的に解体や修繕を行い、その費用が所有者に請求される場合もあるため、空き家の管理は怠らないようにすることが重要です。
2. 空き家の固定資産税の負担を減らす方法
空き家の固定資産税を減らすためには、適切な管理と対策が不可欠です。
以下では、税負担を軽減する具体的な方法を紹介します。
2.1 空き家の適切な管理と清掃
空き家が特定空き家に指定されないようにするためには、定期的な管理と清掃が重要です。
適切に管理されていることを示すことで、特定空き家の指定を回避でき、住宅用地の特例を維持することが可能です。
- 清掃とメンテナンス: 屋根や外壁の修繕、草木の手入れ、定期的な清掃を行い、周囲の環境に配慮することが大切です。
これにより、物件の劣化を防ぎ、空き家が特定空き家に指定されるリスクを減らすことができます。
特に、目に見える部分(外壁、庭、玄関周りなど)を整えておくことが重要です。 - 外観の改善: 外観が著しく悪化している場合、簡単なリフォームや塗装を行い、物件の見た目を整えることで、特定空き家の指定を避けることができます。
また、外観の美観を保つことで、周囲の住民からの苦情を防ぐことも可能です。
2.2 空き家を賃貸や売却して活用
空き家をそのまま放置せず、賃貸や売却して活用することも有効な方法です。
賃貸に出すことで家賃収入を得ながら維持費を賄うことができ、売却することで固定資産税の負担から解放されます。
- 賃貸活用: 短期賃貸やウィークリーマンションとして運用することで、空き家を収益源に変えることが可能です。
また、賃貸に出す前にリフォームを行うことで、物件の魅力を高め、空室リスクを軽減できます。
特に、地域のニーズに合った賃貸物件として活用することで、安定した収益を期待できます。 - 売却の検討: 早期の売却を目指すために、不動産会社に査定を依頼し、適切な価格で市場に出すことが重要です。
売れない場合でも、価格設定の見直しや広告戦略の強化を行い、売却の可能性を高めましょう。
価格を下げることによって、買い手が見つかりやすくなることもあります。
2.3 リフォームによる価値向上
空き家が老朽化している場合、売却や賃貸に出す前にリフォームを行うことで、物件の価値を向上させることができます。
リフォームによって、住環境が改善されるため、売却価格の向上や賃貸での入居者募集がスムーズになる可能性があります。
- フルリフォームと部分リフォーム
物件全体をリフォームする「フルリフォーム」や、キッチン・バスルームなど特定の部分のみを改修する「部分リフォーム」があります。
予算や目的に応じて、最適なリフォームを選びましょう。 - リフォーム補助金の活用
自治体によっては、リフォーム費用に対する補助金を提供している場合があります。
これを利用することで、コストを抑えながら物件の価値を高めることができます。
3. 特措法を活用した対策
空き家等対策の推進に関する特別措置法(特措法)は、空き家問題の解決を図るために制定された法律で、特定空き家の管理不全を防止するための措置が盛り込まれています。
この法律をうまく活用することで、空き家の管理や処分に役立てることができます。
3.1 特措法の目的と内容
特措法は、放置された空き家が地域に与える悪影響を防ぐため、所有者に対して適切な管理を促すことを目的としています。
特定空き家に指定されると、所有者は行政からの指導や勧告、場合によっては命令や強制執行を受けることがあります。
- 指導・勧告
空き家の状態が悪い場合、まずは行政からの指導や勧告が行われます。
これに従わない場合、特定空き家として指定されるリスクが高まります。
指導を受けた場合は、迅速に対応し、必要な改善を行うことが求められます。 - 命令・強制執行
指導や勧告に従わず、空き家の状態が改善されない場合は、最終的に行政が強制的に解体や修繕を行い、その費用が所有者に請求されることがあります。
これにより、さらに高額な負担が発生するリスクがあるため、事前の管理が重要です。
3.2 特措法を活用した空き家対策
特措法に基づく支援制度や補助金を利用することで、空き家の管理や解体費用を軽減することができます。
各自治体では、特措法に基づく空き家対策としてさまざまな支援策を提供しています。
- 解体費用の補助金
多くの自治体では、老朽化した空き家の解体に対する補助金を提供しています。
解体費用の一部を補助することで、空き家の撤去を促進し、地域の安全を守ることが目的です。
補助金を利用するには、申請手続きや要件を満たす必要があるため、自治体の公式サイトで詳細を確認しましょう。 - 空き家リフォーム補助
一部の自治体では、空き家のリフォーム費用に対する補助金制度もあります。
これにより、空き家を賃貸物件や地域の施設として活用しやすくすることができます。
リフォーム補助金を活用することで、賃貸運用への移行をスムーズに進めることが可能です。
4. 売れない空き家にできるその他の対策
売れない空き家に対して、固定資産税を軽減するための工夫や活用方法を見つけることが重要です。
以下では、さらに有効な対策を紹介します。
4.1 空き家バンクの利用
空き家バンクは、自治体が運営する空き家情報の登録システムで、空き家を移住希望者や地域での活用希望者に紹介する仕組みです。
これを利用することで、地域のニーズに合った使い道を見つけ、固定資産税の負担を軽減することができます。
- 空き家バンクの仕組み
自治体が運営する空き家バンクに物件を登録し、移住希望者や地域の事業者に物件を提供することで、空き家の新しい活用方法を見つけることができます。
特に、地方への移住を希望する若者や、事業用物件として空き家を探している人にとって、有益な情報提供の場となります。 - メリット
空き家バンクを利用することで、通常の不動産市場とは異なるターゲット層にアプローチできるため、売却が難しい物件にもチャンスが広がります。
登録料が無料の場合も多く、コストをかけずに物件の露出を増やせるのもメリットです。
4.2 民泊や短期賃貸として活用する
空き家を民泊や短期賃貸として運用する方法もあります。
特に観光地やビジネスエリアにある物件であれば、旅行者や出張者を対象とした宿泊施設として活用することで、収益を得ることができます。
- 民泊運用のメリット
高い稼働率を確保できる場合、通常の賃貸よりも高い収益が期待できます。
また、空室時の管理費用も比較的少ないため、運営コストを抑えやすいです。
観光地の近くであれば、シーズンごとの収益向上も期待できます。 - 注意点
民泊運用には法規制があるため、事前に必要な許可や登録が求められます。
また、運営には清掃やゲスト対応が必要で、管理が難しい場合もあります。
運用にあたっては、法律や地域のルールを遵守することが求められます。
4.3 解体して更地します
どうしても売れない空き家は、建物を解体して更地にする方法も検討できます。
更地にすることで土地の利用価値が高まり、買い手がつきやすくなる場合があります。
- 解体のメリット
更地にすることで、建物の管理コストや固定資産税の負担が軽減されます。
建物の老朽化リスクや安全性の問題を解消できるため、土地の価値が向上します。
特に、建物の倒壊リスクがある場合は、更地にすることが周囲への安全面でも大きなメリットです。 - デメリットと注意点
解体には費用がかかり、解体後も固定資産税が上がる場合があります。
解体する前に、土地の需要や周辺環境を調査し、売却可能性を見極めることが重要です。
また、更地にすると、固定資産税が高くなる可能性があるため、事前に税負担の増加を考慮して計画を立てましょう。
まとめ
空き家の固定資産税が高くなる原因は、特定空き家の指定や管理不全にあります。
しかし、適切な管理やリフォーム、賃貸運用などの対策を講じることで、固定資産税の負担を軽減し、空き家を有効に活用することが可能です。
また、特措法を活用して自治体の支援制度や補助金を利用することで、空き家の管理や解体にかかるコストを抑えることもできます。
空き家の状況や地域の特性に応じて、最適な方法を見つけ、空き家問題を解決しましょう。
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