空き家を使った民泊の始め方。賃貸との違いと注意点も解説
はじめに
空き家を持て余している方にとって、民泊は収益を得る魅力的な方法です。
民泊とは、短期間の宿泊施設として空き家を貸し出す形態で、特に観光地や都市部では需要が高く、収益性が期待できます。
一方で、賃貸運用と異なる法規制や運用上の注意点があるため、正しい知識を持って始めることが重要です。
本記事では、空き家を使った民泊の始め方、賃貸との違い、運用時の注意点、住宅宿泊管理事業者について詳しく解説し、民泊に向いている物件の判断基準についても紹介します。
1. 民泊とは?空き家で始める民泊の基本
民泊は、住宅の一部または全体を短期間の宿泊施設として貸し出すサービスです。
主に観光客や出張者など、短期滞在を希望する利用者が対象となります。
エアビー(Airbnb)などの民泊プラットフォームを通じて運営することが一般的で、自宅や空き家を活用して手軽に始められる副業として注目されています。
1.1 民泊運用のメリット
- 高収益が期待できる
季節やイベントに応じて宿泊費を調整できるため、賃貸よりも高い収益を得られる可能性があります。 - 柔軟な運用
物件の利用状況を自由にコントロールでき、自身の予定に合わせて運用できます。 - 空き家の活用
空き家を放置せず、維持管理しながら収益化することが可能です。
1.2 民泊の種類
民泊にはいくつかの種類があります。目的や運用方法に合わせて最適な形態を選びましょう。
- 住宅宿泊事業(民泊新法)
年間180日までの短期賃貸が可能で、比較的手軽に始められる形態です。
多くの個人オーナーがこの形で民泊を運営しています。 - 旅館業法に基づく民泊
365日運営可能ですが、許可の取得や設備基準が求められます。
設備基準が厳しいため、個人での参入は難易度が高いことが特徴です。
2. 空き家で始める民泊の始め方
空き家を民泊として運用するためには、いくつかのステップがあります。
法律の遵守や適切な準備を行うことで、トラブルを避け、安定した運用が可能になります。
2.1 物件の適合性を確認する
まず、空き家が民泊運用に適しているかを確認しましょう。運用に際しては、立地条件や建物の状態が重要です。
- 立地の確認
観光地や駅に近い場所、アクセスの良い場所であれば、集客が見込めます。 - 建物の状態
老朽化が進んでいる場合、リフォームや修繕が必要になることがあります。特に水回りや電気設備などの基本的なインフラが整っていることが重要です。
2.2 届出や許可の取得
日本で民泊を運営するためには、法律に基づいた届出や許可が必要です。以下の手続きを正しく行いましょう。
- 住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出
年間180日以内の運営を行う場合は、民泊新法に基づく届出が必要です。届出は比較的簡単で、自治体の窓口やオンラインで行うことができます。申請には、物件の構造や安全性に関する情報の提出が必要です。 - 旅館業法の許可
年間365日の運営を行いたい場合、旅館業法に基づく簡易宿所営業の許可が必要です。この許可を取得するには、物件の設備基準(消防設備の設置や衛生管理など)を満たす必要がありますが、手続きは複雑です。旅館業について詳しく知りたい場合は、別の記事で詳しく解説します。 - 必要書類と手続き
- 申請書の提出
- 物件の図面や防火設備の確認
- 地域によっては近隣住民への通知や説明会が必要な場合もあります。
2.3 プラットフォームの選定と登録
民泊運営には、宿泊プラットフォームの選定が重要です。代表的なプラットフォームとしては、Airbnb、Booking.com、楽天LIFULL STAYなどがあります。それぞれの特徴を理解し、運営方針に合ったプラットフォームを選びましょう。
- Airbnb
世界的に有名な民泊プラットフォームで、多言語対応や予約管理がしやすい点が特徴です。 - Booking.com
ホテル予約サイトとして有名ですが、民泊物件の掲載も可能。グローバルな集客が期待できます。 - 楽天LIFULL STAY
日本国内の利用者に強く、集客サポートやオーナー向けのサポートが充実しています。
3. 民泊に向いている物件かどうかを判断するには
空き家が民泊に向いているかどうかを判断するためには、物件の立地や条件を評価することが大切です。以下のポイントを参考に、物件の適正を見極めましょう。
3.1 立地の重要性
民泊の成功には立地が大きく影響します。観光地や都市部に近い場所であれば、集客がしやすくなります。
- 観光地やビジネスエリア
観光名所やビジネス街の近くにある物件は、旅行者や出張者の需要が高く、稼働率を維持しやすいです。 - 交通の利便性
最寄り駅やバス停からのアクセスが良い物件は、ゲストにとって利用しやすいため、リピート率も高くなります。
3.2 建物の状態と設備
ゲストが快適に過ごせるよう、建物の状態や設備が整っていることが重要です。老朽化が進んでいる物件は、リフォームが必要になる場合があります。
- 清潔で快適な環境
内装が清潔で設備が充実していることが、ゲストの満足度を高めます。エアコン、Wi-Fi、キッチン設備など、基本的な設備が整っていることが求められます。 - セキュリティ対策
鍵の管理やセキュリティ設備の整備が重要です。特にデジタルロックの導入は、ゲストの利便性とセキュリティ向上に役立ちます。
3.3 法規制への適合
民泊運営には、法的な要件を満たす必要があります。物件が法規制に適合しているかを確認しましょう。
- 消防設備の設置
消火器や煙感知器の設置が必要です。これらの設備が整っていることが、旅館業法の許可取得にも影響します。 - 用途地域の確認
物件が位置する地域が民泊運営に適しているか、用途地域を確認しましょう。地域によっては民泊運営が禁止されている場合があります。
4. 民泊と賃貸の違い
空き家の活用方法として、民泊と賃貸には大きな違いがあります。運用方法や収益性、手間のかかり方を比較して、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
4.1 運用期間と収益性
- 賃貸
長期間(1年以上)の入居者を募集し、月々の家賃収入を得るスタイル。収益は安定していますが、大きな収益の変動は期待しにくいです。 - 民泊
短期間の宿泊を繰り返し提供するため、季節やイベントに応じて価格を調整でき、高収益が狙えます。しかし、稼働率を維持するための集客や清掃などの手間がかかります。
4.2 法的手続きの違い
- 賃貸
賃貸借契約を結ぶだけで、特別な許可や届出は必要ありません。管理会社に依頼することで、ほとんどの運営業務を代行してもらうことも可能です。 - 民泊
民泊新法や旅館業法に基づく許可や届出が必要です。法律に基づいた運営が求められるため、事前の確認が不可欠です。
4.3 運営管理の手間
- 賃貸
入居者が決まれば、日常の管理は比較的少なくて済みます。管理会社に委託することで、空室管理や入居者対応もお任せできます。 - 民泊
宿泊者の入れ替わりが頻繁で、毎回の清掃やリネン交換、ゲスト対応が必要です。運営の手間がかかる反面、ゲストからの評価次第で収益が大きく変動することもあります。
5. 民泊運用の注意点
民泊を運用する際には、法規制の遵守だけでなく、運営上のトラブルを防ぐための注意点も押さえておく必要があります。
5.1 住宅宿泊管理事業者の利用
民泊運営では、宿泊者の対応や清掃などの管理業務が大きな負担となります。そのため、運営を代行する「住宅宿泊管理事業者」を活用することが有効です。住宅宿泊管理事業者は、国に登録された管理業者で、ゲスト対応や清掃管理をプロフェッショナルに行います。
- 業務内容:
- チェックイン・チェックアウトの対応
- 予約管理とゲストとの連絡調整
- 清掃やリネン交換の手配
- 緊急時の対応(トラブル時のゲスト対応)
- 利用のメリット:
- 運営の手間を大幅に削減できる。
- 専門家による対応で、ゲストの満足度を向上させる。
- 法規制を遵守した運営が可能になるため、リスクを軽減できる。
住宅宿泊管理事業者を利用することで、運営の効率が大幅に向上し、空き家を民泊として収益化する負担を軽減できます。信頼できる事業者を選び、パートナーシップを築くことが成功の鍵となります。
5.2 近隣トラブルの防止
民泊運営では、近隣住民との関係も重要です。宿泊者が増えることで騒音やゴミ出しの問題が発生しやすくなります。トラブルを防ぐために、事前に近隣へ運営開始の通知を行い、理解を得るようにしましょう。
- トラブル防止策
- 騒音対策(パーティー禁止や静かに過ごすルールの徹底)
- ゴミ出しルールの明確化
- 緊急連絡先の提示
5.3 ゲスト対応とレビュー管理
ゲストからの評価(レビュー)は、今後の集客に大きく影響します。ポジティブなレビューを増やすために、ゲスト対応をしっかりと行い、トラブル時には迅速に対応しましょう。
- チェックイン・チェックアウトのスムーズさ
デジタルロックやセルフチェックインの導入で、ゲストの利便性を高めましょう。 - トラブル対応
緊急連絡先を提供し、トラブルが発生した場合には迅速に対応する体制を整えることが重要です。
まとめ
空き家を民泊として運用することで、副業収入を得ながら空き家を活用することができます。賃貸と民泊の違いを理解し、それぞれの特徴を踏まえたうえで、最適な運用方法を選ぶことが成功への第一歩です。特に民泊運用では法規制の遵守やゲスト対応、近隣住民との関係が重要となりますので、しっかりと準備を行い、トラブルのない運営を目指しましょう。住宅宿泊管理事業者の利用も、運営の負担を軽減し、効率的な管理を実現する大きなポイントです。また、物件の選定が運用の成否を左右するため、民泊に向いている物件かどうかの判断も慎重に行いましょう。
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